サッカー選手にとって膝の痛みはとても深刻な問題です。
特に成長期の若い選手はオスグッドが頻発します。
ひょっとするとサッカー選手だけの悩みではなく、スポーツ選手の成長期には避けて通れない症状かもしれません。
今回の記事では、そんなオスグッドの症状・原因・治療法を詳しく解説します!
オスグッドの正式名称はオスグッドシュラッダー病で、小中学生(10〜15歳)の男の子に多い膝のオーバーユース(使いすぎ)によるスポーツ障害の1つです。
主な症状
最初は膝の前側に痛みや違和感を感じます。
スポーツ後の痛みが主ですが、進行すると歩行時や階段の上り降りでも痛みを感じるようになります。
初期の時点で脛骨粗面部に腫れがあるケースも多いです。
主な原因
オスグッドは成長期の、骨がまだ完全に硬化していない時期に、膝蓋腱に繰り返し引っ張られることによって起こります。
この引っ張りが何度も繰り返されることで、脛骨粗面の部分が炎症を起こし痛みや腫れが生じます・・・。
骨の成長過程はどうしても不安定な状態です。
加えて、骨の成長スピードに対して筋肉や腱の成長が追いつかず、アンバランスな筋骨格構造になっています。
そこに過剰な運動や高強度のトレーニングによる負荷が加わることで、膝に痛みを感じます。
問題となる膝蓋腱とはいったいどのようなものなのか・・・?
太ももの前側には大腿四頭筋という大きな筋肉が存在し、主には膝の動きに関与し、股関節の動きにも補助的に関与しています。
オスグッドを根本的に治すためには、この大腿四頭筋の使いすぎを改善しなければ痛みが引くことはありません・・・。
純粋に練習量が多すぎる場合を除いて、身体の使い方に問題があり大腿四頭筋を使いすぎてしまう主な原因はこの3つです。
大腿四頭筋を使いすぎてしまう理由
①前傾姿勢
サッカーでは走る・ジャンプする・切り返しなど様々な動きが要求されます。
この時につま先に体重が乗りやすい選手は大腿四頭筋をガチっと固めて動いてしまう傾向が極めて高いです!
体重移動を考慮するとつま先に乗せている方が効率的な場合も多いですが、すべての動きでつま先重心になってしまうと筋肉は緊張状態が続くことになります・・・。
②殿筋と太もも裏の筋力不足
お尻には大殿筋・中殿筋・小殿筋という筋肉があり、太ももの裏にはハムストリングスという筋肉があります。
これらで大きなパワーを生み出し足に伝えているのですが、殿筋やハムストリングスの力が弱くパワーを生み出せない人は、大腿四頭筋で生み出してしまうため筋肉に疲労が蓄積し硬くります。
③トレーニングでの不適切なフォーム
サッカーに限らず、バスケや陸上競技でも多く取り入れられる代表的なトレーニングとしてスクワットやランジがあります。
どちらのエクササイズも大腿四頭筋・ハムストリングス・臀部の筋肉を強化する目的で行います。
加えて、身体の深部にあるインナーマッスルや背筋も使うため全身の筋力アップにとても重宝します。
しかし、エクササイズをする際に膝がつま先よりも前に出た状態で行うと大腿四頭筋がメインに働くため、筋肉疲労を起こし緊張を生む原因となります。
スクワットやランジを行うときはフォームに気を付けて実施しましょう!
成長痛との違いは?
成長痛は子どもが成長期に経験する一過性の痛みで、多くは夕方から夜にかけて、得に寝る前や最中に痛みを感じることが多いです。
骨端軟骨(骨の成長部分)が短期間で成長する際に、腱や筋肉が引っ張られる症状を指します。
決定的な違いとしては・・・
オスグッド=筋肉(大腿四頭筋)が骨を引っ張る
成長痛=骨(軟骨)が筋肉を引っ張る
こうした特徴がそれぞれあります!
オスグッドも成長痛と同じように、運動やスポーツを控え安静にすることで収束するのは確かですが…
その期間は半年~1年弱と長くかかることもあります。
大人でも長く感じる期間ですが、子どもにとっては途方もなく長いです。
オスグッドは「成長期だから仕方ない・・・」というものではなく、原因となっている筋肉に適切な治療をすれば、短期間の回復が期待できます!
治療法
通常、オスグッドは骨の成長が完了することで自然に治癒しますが、スポーツ活動を続ける場合は筋肉へのダメージが蓄積し自然治癒することが難しくなります。
また、大事な試合などが控えている場合はゆっくりと休むことが難しいというケースも多いでしょう。
紹介する治療法は当院がオスグッドに対して実際に行っている方法です。
①マイオパルスによる筋肉の弛緩
②炎症部位の細胞を修復
③過剰な痛みの信号を抑制
当院での治療では大腿四頭筋の緊張を緩め、炎症を起こしている脛骨粗面部を修復することで早期回復が可能です。
加えて、プレーを続けながら治していくにはセルフでのけケアも重要になります。
オススメなのは大腿四頭筋をオイルやクリームを使用してほぐす方法や、ストレッチです。
ストレッチは方法次第では治りが遅くなりますので、正しい方法で行いましょう!
↓いい例
↓良くない例
前述した通り、オスグッドは大腿四頭筋の牽引(引っ張りすぎ)が引き金になるため、ストレッチをして膝が引っ張られるのはいい方法とは言えません。
股関節の前側からゆっくりと時間をかけて伸ばしてくださいね♪
こんな症状があればオスグッドかも
- 階段がつらい
- 走ると膝の下が痛い
- 屈伸すると膝や太ももが痛む
- 自転車を漕ぐと痛い
- 膝下に腫れがある
痛みを感じてから数日しても変化がない場合や、痛みが強くなっている場合は膝にトラブルが起こっている証拠です。
お子さんの膝の痛みが続くときは、悩む前にぜひ当院へお越しください。